9-3<九段の丘>

              エキスパート
 スーフィー派に伝わるお話。
 死んだと思われたある男が、友人たちによって墓地へと運ばれてまいりました。棺が墓穴におろされようとする時、男は突然生き返り、棺のふたを叩きはじめました。
 棺が開かれ、男は尋ねました。「あなた方は一体何をしているのですか?」彼はとり囲む群衆に言いました。「わたしは生きています。死んではいません」
 男の言葉に、皆は驚いて沈黙しました。会葬者のひとりが、やっと口を開きました。「友よ、医者も導師もあなたが死んだことを証明しました。エキスパートが間違えるはずはありません」
 そこで男は無理やり棺に閉じ込められ、釘を打たれ、決められたとおりに埋葬されました。 
 防衛のことは国に、医療のことは医者に、犯罪のことは警察に、学校のことは教師に、政治のことは役人と政治家に、ロケット打ち上げや原子力のことは科学者に任せれば安心だと思っているところが、わたしたちにありはしないか。
 以前、総合病院で2日続けて、同じような抗生物質の薬を、別々の医師から処方されました。さすがのんきなわたしも、薬局でそのことを問いただし当日分を廃棄しました。お年寄りとか子供だったら、そのまま素直に薬を持ち帰り、2倍の薬を飲み、大事に至ったかもしれません。コワイことです。
 打ち上げた衛星が宇宙のゴミとなり、医療ミス、原発トラブルが実際に起こる。わたしたちは常日頃から、周囲の人々への関わりを大切にし、専門家を盲信せず、監視を怠ってはならないと思います。

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