九段教会コラム

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7-23<九段の丘> 

2017年07月23日

                                                         心を豊かにしてこそ…
『風の扉』を読む。夏樹静子の力作である。先端医療の行きつくところ、臓器移植の究めつけ、頭と胴体の接合手術を取り扱った近未来小説である。脳死問題とも絡む。これは、医療があくまでも生きた人間をトータルに治療できるか、医師の知的好奇心、医療技術の発展のみに目向けられることへの疑問を含んでいる。
巻末で「解説」を担当したS氏がこんなことを紹介している。「….以前、病院のベッドで本を読んでいたとき担当の医師から、文学はそんなに面白いものですか?医学は人を救うものですが、文学は人を救わなくてもいいのでしょう、わたしは文学は読みません、と言われてギョッとしたことがある。」と。わたしもギョッとした。
 経営の神さまと呼ばれたP.ドラッカーは、二言目には、経営者たちに社会を知り人間理解のためには小説を読みなさいと勧めた。
 以前、朝日新聞の文化蘭の対談で、五木寛之氏が、「すぐれた文芸作品には、本当に自然に育成される宗教的な感情がある。もっと小説を読んでくれるといいですね。人間の命が大切だとわかりますから。」と、相手の水上勉氏に言っている。
小説を読もう。推理小説も楽しいが、わたしたちに人生を考えさせ、人の命の尊さを教えてくれる小説を読もう。