九段教会コラム

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10-8<九段の丘> 

2017年10月06日

                            僧と女性

ふたりの仏教僧が、僧院へ行く途中、川岸で大変美しい女性を見つけました。ふたりのように、その女性も川を渡りたがっていましたが、水は深すぎました。そこで僧のひとりが彼女を背負い、川を渡してやりました。

仲間の僧はひどく憤りました。まる2時間、<聖なる掟>をなおざりにしたと責めました。おまえは僧であることを忘れたのか?なぜ女の体に手を触れたのか?おまけに女を背負って川を渡ったではないか?人々はなんと言うだろう?<聖なる宗教>の評判を落としてもいいのか?など、など、など。

掟を破った僧は、いつ終わるともわからぬ説教を忍耐づよく聞いていました。ついに声を上げました。「兄弟よ、わたしはあの女性を川岸に下ろしました。あなたはいつまで彼女を運んでいるのですか?」

アラブの神秘家、アブ・ハッサン・ブジャンジャは言っています。「罪の行為は、罪の望んだり思ったりすることよりはるかに害が少ない。一時的に快楽に身を任すことと、それを心で絶えず思い続けることとは、完全に違うのだ。」

宗教を信じる人々が、他の人の犯す罪について絶えず考える時、それは、罪の行為が罪人に与える以上の快楽を自分に与えているのではないか。
                                        (アントニー・デ・メロ『小鳥の歌』より)